コンテンツにスキップ
第5回:競争力のあるパフォーマンスセンターを運営するための戦略

第5回:競争力のあるパフォーマンスセンターを運営するための戦略

長期的な運営を支える設備投資のポイント


パフォーマンスセンターの運営では、初期にどのような設備投資を行うかが長期的な成功を左右します。高品質な器具は高価ですが故障が少なく長持ちし、結果的に運営コストを下げます。一方安価な器具は導入しやすいものの耐久性に難があり、早期の買い替えや修理が発生して逆にコスト高となるケースもあります。したがって、「長期目線で見た設備投資」が重要です。

品質と耐久性を優先した投資: 競合のジムと差別化し、プロチームや一流アスリートから選ばれる施設にするには、まず器具のクオリティで妥協しないことです。信頼性の高いブランドを核に据え、頻繁に使うラック・バー・ベンチ・マシン類は高品質なものを選定します。これらは良いものは値が張りますが、頑丈な作りでトラブルも避けられます。一方、極端に安価な製品では「細い鋼材でフレームが弱く、溶接も粗雑でグラつく」「使用数ヶ月で溶接部やパッド部が破断する」といった例が散見されます。実際、安価な器具は低品質の素材や薄い鋼管が使われ、溶接も弱いためグラグラした不安定な状態になりがちです。ひどい場合は、数ヶ月で壊れてしまうことすらあります。こうなると結局買い直しになり、当初節約した分以上の費用がかかるばかりか、その間はトレーニングに支障が出ます。

保証とサポート: 高品質なメーカー品は保証も充実していることが多く、万一不具合が起きても無償修理や交換対応が可能です。一方、安価な器具には短期の限定保証しか付いておらず、故障時には修理費用や新品買い替え費用が発生します。信頼できるブランドのバーやラックには通常数年〜生涯保証がついていますが、ノーブランド品は保証なしの場合もあります。後者だと、壊れれば自己負担で修理しなければならず、トータルコストでは高くつくわけです。

安全性の確保: 質の高い設備投資は安全性向上にも直結します。強度不足のラックやベンチは選手の大怪我につながるリスクがあります。フレームが折れてラックやベンチが崩壊するといった事故例も、安価な器具では実際に報告されています。競技レベルのアスリートが集まる施設でそのような事故が起きれば、信頼は地に落ち運営継続も危ぶまれます。投資段階で安全性に優れた機材を選ぶことは、保険の意味合いも持つ重要なポイントです。

汎用性と拡張性: 長期運営を見据えるなら、器具の汎用性や拡張性も考慮します。例えばROGUE、ELEIKO、MBC POWERのラックは後から各種アタッチメントを追加できますし、モジュラー設計で機能追加が可能です。初期構築では最低限の構成でも、後で予算ができたときにディップバーやケーブルアタッチメントを追加して機能拡張できます。これは結果的に器具を無駄にせず長く使い続けることにつながります。一方、一体型の安価なマシンはそれ単独でしか使えず、用途が限定されて置物になるリスクがあります。拡張性の高い機器を選び、レイアウト変更やトレーニング手法の変化にも柔軟に対応できるようにしておきましょう。

要するに、長期的な運営を支えるには「良いものを選び、きちんとメンテナンスしながら使い倒す」というスタンスが肝要です。具体的には、年間の設備予算計画を立てて初期投資だけでなく定期メンテ費も組み込み、消耗品(ケーブルやパッド類)は早め早めに交換する、錆が出たら都度除去するなど、機材を長持ちさせる努力も必要です。高品質な設備は、適切なメンテナンスを施せば半永久的に使えるものが多くあります。初期投資は大きくなりがちですが、長期的に見ればコスト効率が良くなるケースがほとんどです。たとえば、アメリカ空軍士官学校は「最高の器具だけを導入する」という方針のもと、ELEIKO社の競技用セットを大量に導入しました。これには、他社のバーがすぐに曲がってしまい、使用に耐えられなかったという経緯があったからです。最高品質の器具は激しい使用にも耐え、「唯一無二の安定感」で長期運用に応える、非常に有効な投資と言えます。


初期投資 vs. メンテナンスコスト(安価な器具との比較)

 

ジムやパフォーマンスセンターを立ち上げる際、限られた予算の中で安価な器具を導入したくなる誘惑は少なくありません。ラックやバーベルなどを廉価品で揃えれば一見大きな節約になりますが、そこには落とし穴があります。低品質な器具は耐久性が低く、早期の破損や買い替えを余儀なくされます。また、見た目や使用感の安っぽさは利用者に伝わりやすく、特にプロチームやトレーナーから敬遠されれば施設のブランド価値を下げかねません。

具体例で見てみましょう。3万円の安価なバーベルを導入し2年ごとに買い替えれば、10年間で合計15万円。一方、15万円の高品質バーベルなら10年以上使い続けられるケースも多く、総額は同等でも常に安心して利用でき、満足度を高く維持できます。加えて高品質器具は交換部品が入手でき、必要なメンテナンスも最小限で済むため、長期的に見れば手間もコストも抑えられます。

見逃せないのは、故障によるダウンタイムの損失です。安価なトレッドミルが長期間使えなくなれば、会員の不満や退会、チームからの信頼低下につながります。実際に米軍基地では安価なバーが次々に曲がり、最終的にELEIKOに切り替えた事例があります。高品質バーに変更後は24時間稼働でも問題が起きず、まさにライフサイクルコストの観点から正しい投資であったといえるでしょう。

 総合的な判断: 以上を踏まえると、初期投資額だけで判断せずライフサイクルコストで判断することが肝心です。ライフサイクルコストとは、その器具を導入してから廃棄するまでに要する総費用(購入+維持費+処分費など)のことです。これで比較すると、高品質器具の方が安価器具を何度も買い替えるより安くつくことが多いです。

もちろん、すべてを最高級品で揃えるのは現実的ではありません。その場合は優先順位をつけることが重要です。安全性と使用頻度が高いラック、バーベル、ベンチなどは最優先で高品質なものを導入する。一方、使用頻度が低いマシン類は、中古や廉価品でも代替可能です。ポイントは「安全性・耐久性・使用頻度」を基準に判断し、限られた予算の中でも長期的な安定運営につながる選択をすることです。


収益化のアイデア


パフォーマンスセンターを持続的に運営していくためには、収益化を図り経営を安定させることも重要です。単に機材を揃えてトレーニングする場を提供するだけでなく、様々なサービスや仕組みを導入して収入源を多角化するアイデアを考えてみましょう。

 1. 会員制・パーソナルトレーニング: 基本的な収益源は会員からの利用料です。プロチームや学校の専属施設でない限り、一般のアスリートやトレーニング愛好家向けに会員制度を設けることが考えられます。月額会費制で安定収入を確保する方法です。

さらに、パーソナルトレーニングサービスを提供すれば追加収益が見込めます。パーソナルトレーニング市場は非常に大きく、こうした付加サービスを提供することで、施設の価値を高めつつ収益性を向上させることが可能です。

2.    グループトレーニング・クラス: 一対多数のトレーニング形式も収益拡大に有効です。少人数のグループ指導やクラス制のトレーニングセッションを設ければ、複数の参加者から同時に料金を得られます。一人あたりの料金はPTより割安に設定できますが、コーチ1人で複数名を指導できるため効率が良く、利用者にとっても手頃な価格で専門的指導を受けられる利点があります。特にジュニアアスリート向けのスピード・アジリティクラスや、社会人チーム向けの週末グループトレーニングなどニーズに合わせたクラスを企画すれば、新たな顧客層を取り込めるでしょう。またグループレッスンを通じてコミュニティが形成されれば、会員同士の交流が生まれ定着率向上にもつながります。

3. 物販(サプリメント・グッズ販売): トレーニング関連商品の販売は手軽に始められる収益源です。プロテインやアミノ酸飲料、エナジーバーといったサプリメント類はアスリートの需要が高く、施設内で扱えば利便性から購入してもらえる可能性があります。加えて、自社ロゴ入りのTシャツ・ボトル・トレーニング用具などのグッズ販売も検討できます。商品販売は比較的労力が少ない割に利益率向上に寄与し、顧客にとっても必要な用品をその場で入手できるメリットがあります。小規模なプロショップを併設し、利用者がトレーニング前後に必要品を買えるようにすることで、追加の売上を生むことができるでしょう。

4. オンラインサービスの活用: デジタル技術を取り入れた収益化も見逃せません。例えばオンデマンドのトレーニング動画配信やオンライン指導プログラムを提供すれば、施設外のユーザーや遠方のアスリートにもリーチできます。自宅で取り組めるトレーニングコンテンツやライブ配信クラスを月額課金やコンテンツ販売で提供することで、パッシブインカム(継続課金型収入)を得ることが可能です。また既存会員向けに専用アプリを導入し、ワークアウト記録の管理機能や動画ライブラリ閲覧サービスを付加すれば、オフラインとオンラインを組み合わせたハイブリッド型の提供もできます。これにより施設の付加価値が高まり、忙しい顧客や遠隔地の顧客にもアプローチして収益機会を広げられるでしょう。

5. 提携・特別プログラムの提供: 通常のジムサービス以外にも、提携や専門サービスによる収入源を検討します。例えば地域のスポーツチームや学校と契約し、オフシーズントレーニングや測定会を受託すれば、団体契約による安定収入が見込めます。また企業向けのフィットネスプログラム提供も昨今のトレンドで、福利厚生として社員にトレーニング機会を提供する企業も増えています。こうした法人契約は一度に多くの利用者を獲得できる点で効率的です。さらに、管理栄養士による栄養指導サービスや食事プラン作成を有料で行うことも有効です。栄養面のサポートはアスリートのパフォーマンス向上に直結するため付加価値が高く、ジムをワンストップで相談できる場にします。その他にも、著名アスリートを招いたクリニックやセミナーの開催、施設主催のコンディショニングキャンプなどのイベントも収益と集客の双方に貢献します。これら特別プログラムは一時的な収入獲得だけでなく施設の知名度向上にも寄与するため、戦略的に実施すれば新規会員獲得にもつながるでしょう。

以上のように多角的な収益化策を組み合わせることで、パフォーマンスセンターの経営基盤はより安定します。かつては月会費収入だけに頼るビジネスモデルが主流でしたが、現代のフィットネス業界では複数の収入源を持つことが競争環境で生き残る鍵となっています。重要なのは、提供する各サービスのクオリティを高く保ち、アスリートに確かな価値を届けることです。その上で、自施設の強み(優秀なコーチ陣、充実した設備など)を活かした収益モデルを築くことが成功のポイントになります。ジム運営者や導入を検討中の方はぜひ、自施設に合った収益化アイデアを取捨選択して計画に取り入れてみてください。一つの方法に偏るのではなく複数の柱を持つ経営によって、アスリートへの支援と事業の持続性を両立する競争力あるパフォーマンスセンター運営を実現しましょう。

 

次の記事 第4回:リカバリー&コンディショニングエリアの最適化