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ハイパフォーマンスを追求する現代のトレーニングでは、リカバリー(回復)の重要性がかつてないほど高まっています。ハードなトレーニングを積むアスリートにとって、いかに素早く体を回復させ次の練習に備えるかがパフォーマンス維持・向上の鍵です。そのため、多くのトップチームやトレーニング施設ではリカバリー専用のエリアや設備に投資し始めています。
近年のフィットネストレンドでも「フィットネスリカバリー」が注目されており、単に休息を取るだけでなく積極的な回復行動(アクティブリカバリー)を行うことが推奨されています。研究も進み、フォームローラーやマッサージガン、ストレッチなどが筋疲労回復や柔軟性向上に有効であることが分かってきました。こうした背景から、一般ジムでもウォームアップ/クールダウン専用スペースを設けたり、リカバリークラスを提供する動きが出ています。ある調査では、過去数年でフォームローラーやマッサージガン等のセルフケアツールの売上が急増し、多くのトレーニーが自分で筋肉をケアする習慣を持ち始めているといいます。
パフォーマンスセンターでは、この流れを先取りし、リカバリー専用エリアを最適化することが求められます。具体的には、ストレッチや筋膜リリースができるマットスペース、アイシングや簡易マッサージが行える備品などを揃えたエリアを設けます。トップ選手が集う施設では、冷水浴(アイスバス)やサウナ、低酸素カプセルなど高度な設備を導入する例もありますが、まずは基本的なリカバリー手段を網羅することが大切です。具体的には次項で述べるフォームローラーやマッサージツール、軽い有酸素マシンによるクールダウンなどです。
リカバリー設備を充実させることは、選手のコンディショニング維持だけでなく障害予防の観点からも有効です。疲労の蓄積はオーバートレーニングや怪我の大きな原因となりますが、適切なリカバリーを介入することでそれを軽減できます。さらに、リカバリーエリアは選手にリラックスを提供する場にもなります。ハードなトレーニング後にストレッチポールに横たわり、ゆっくり呼吸を整えることで精神的にも落ち着きを取り戻せます。心理的回復もパフォーマンスに影響しますから、リカバリー設備はフィジカル面とメンタル面両方でメリットがあるのです。
総じて、現代のパフォーマンスセンターでは「追い込む場」であると同時に「癒やす場」も提供することが標準になりつつあります。トレーニングと休息は車の両輪であり、質の高いトレーニングの裏には質の高いリカバリーがあると言われます。第4回では、このリカバリー&コンディショニングエリアに焦点を当て、具体的な設備とその活用法について解説します。

フォームローラーやマッサージツールは、アスリートのセルフケアアイテムとして今や定番となりました。パフォーマンスセンターのリカバリーエリアには、これらを十分な数用意し、選手が自由に使えるようにすることが望ましいです。その活用法と効果について見ていきましょう。
フォームローラー: 円柱状の発泡スチロールやプラスチック製ローラーで、主に筋肉の張りをほぐす目的で使用します。使い方は、例えば太ももの前面(大腿四頭筋)ならうつ伏せになってローラーを太ももの下にあて、体重をかけながらゆっくり前後に転がします。ふくらはぎやハムストリング、背中や臀部、脛、足底など全身様々な部位に応用できます。フォームローラーの効果としては、筋肉の緊張を和らげ、関節可動域を拡大することが挙げられます。
リカバリーエリアでは、さまざまな硬さ・形状のフォームローラーを用意しましょう。初心者向けには柔らかめで表面が滑らかなタイプ、上級者や筋肉が硬い人向けには硬めで突起があるグリッドタイプなどがあります。アスリート自身が好みの強さで使用できるよう、複数種を取り揃えます。使い方の指導も重要なので、壁に主要部位のローラーのかけ方ポスターを貼るか、スタッフがマンツーマンで教えると良いでしょう。
マッサージツール: 昨今は電動のマッサージガンが人気です。これは先端がピストンのように振動し、筋肉を叩いてほぐす機器で、短時間で深部の筋肉まで刺激を与えられます。選手同士で気軽に使えるので、数台置いておくと「今日はふくらはぎが張ってるからガンでほぐそう」といった会話が自然に生まれます。ただしマッサージガンは強力なので、使用時間や部位に注意が必要です(骨に直接当てない、1箇所に長時間当てない等)。他には、野球ボールやラクロスボールのような小さな硬球も筋膜リリースに使えます。フォームローラーでは届かない肩甲骨の間や臀部の深部などにボールを当ててゴロゴロとほぐします。またストレッチポール(長尺の円柱)も体幹リラックスに役立ちます。背骨に沿ってポールに寝転がり腕を開くことで、胸郭を広げ姿勢矯正とリラックス効果が得られます。

活用のタイミング: これらツールはトレーニング前後どちらでも使えます。ウォームアップ前に軽くフォームローラーをかけると筋温が上がり動きやすくなりますし、クールダウン時にしっかり筋肉をほぐせば血流促進と疲労物質除去を助けます。エビデンス的には、運動直後のフォームローリングが筋肉痛軽減に効果的との報告もあります。したがって、選手には「キツイトレーニングの後は5〜10分かけて全身をローラーでほぐそう」という習慣づけを行うと良いでしょう。
リカバリーエリアにはヨガマットやストレッチマットを敷き、静かにケアできる空間を作ります。フォームローラーやボール、マッサージガンは収納ラックにまとめておき、使いたいときにすぐ取れるようにします。理想的にはリカバリー方法のガイドラインを掲示して、どのツールが何に効くかを示すと選手も使いやすいです。例えば「前腿の張り→フォームローラー15~30秒」「足首周り→ゴムボールでアキレス腱周辺コロコロ」などです。これにより選手自ら積極的にケアに取り組む文化が醸成され、結果として全員のコンディション向上につながります。

コンディショニング(Conditioning)エリアとは、心肺持久力や全身持久力の向上、減量やウォームアップ/クールダウンなどに用いる器具を配置したゾーンです。パフォーマンスセンターではウェイト機材だけでなく、こうした有酸素系や全身持久系の機器もバランスよく配置し、総合的なトレーニングができるようにします。
代表的なコンディショニング器具:
・エクササイズバイク/スピンバイク: 一般的なフィットネスバイク。下半身中心に有酸素運動ができ、負荷調整でインターバルトレも可能。ウォームアップやクールダウンに数台あると便利
・エアバイク(ファンバイク): 空気抵抗式のバイクで、上半身用ハンドルも連動して動くため全身運動になる。ROGUEエコーバイクが世界的に見ても最も人気があり、極めて頑丈な作りで高強度インターバル(HIIT)に適しています。エアバイクは短時間で心拍を最大近くまで上げられるので、「疲労を溜めずに高強度トレーニングを行える」器具として、試合前のアスリートのウォームアップなどにも採用されています。
・ローイングマシン: Concept2やROGUEエコーローワーに代表されるボート漕ぎマシンです。全身の協調運動で心肺持久力を鍛えます。特に背筋・腿裏など裏側の筋肉も使うため、ランニングとは異なる刺激で持久力強化が可能です。
・ランニングトレッドミル: 室内でランニングを行うベルト走路です。スプリント練習用のノンモーターカーブドトレッドミル(自走式カーブトレッド)も近年人気で、トップスピード練習に使えます。ただしスペースとコストをとるため、屋外トラックがある施設では必須ではありません。
・スキルミル/スキーエルゴ: スキルミルはカーブトレッドと似たもので、自走式でパラシュート抵抗を付けられる高機能トレッドミルです。スキーエルゴはクロスカントリースキーのストック動作を模したもので、上半身の持久力にも効果があります。
・バトルロープ: 長いロープの端を両手で持ち、波打たせるように振るトレーニングです。時間を区切って行うと心拍が上がり、肩・腕の持久力向上にもつながります。
・ケトルベル: 一見筋トレ器具ですが、スウィングやスナッチを高回数で行えば優れたコンディショニングツールになります。全身の筋持久力と心肺に負荷をかけることができます。
これらコンディショニング器具の中で、特にパフォーマンスセンターで導入が増えているのが先述のROGUEエコーバイクです。 図: ROGUEエコーバイクを用いた高強度インターバルトレーニングの様子。エコーバイクはファン(扇風機)による空気抵抗を負荷に利用するエアバイクで、負荷のかかり方がスムーズかつ無制限に近いため、エリートアスリート向け施設にも普及が進んでいます。トレーナーへのインタビューでは、「エコーバイクは短時間HIITでコンディションを維持でき、怪我中の選手も安全に追い込める」というメリットが語られています。また数字(ワット数)を目標にできるので、選手が自発的に取り組みやすくモチベーション管理にも役立つとのことです。
コンディショニングエリアでは、これら器具を用途に応じて組み合わせて使用します。例えばオフシーズンに持久力強化を図りたい場合、ローイングマシンやエアバイクでインターバルサーキットを組むことができます。インシーズン中の疲労回復目的なら、軽い負荷でエクササイズバイクを回して積極的休養(アクティブリカバリー)を行ったり、ストレッチと組み合わせて心拍を下げていくのも効果的です。リハビリ中の選手には、下半身に負荷をかけずに心拍を上げられるバトルロープや、上半身のみでも漕げるエアバイクが活躍します。このように、コンディショニング器具は選手個々の状態や目的に合わせて柔軟に使えるようにしておくことがポイントです。
配置に関しては、有酸素マシン類は電源やスペースの問題もあるため壁側にまとめて配置し、床面にはターフを敷くなどしてスレッドやロープを使えるエリアを確保します。こうした器具を適切に導入・配置することで、持久力も含めた全方位的なトレーニング環境が整い、パフォーマンスセンターの価値が一段と高まるでしょう。