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当店では、これまで様々な新規性の高いフリーウェイト器具やトレーニング機器を取り扱ってきました。
海外で話題になった新製品や、まだ日本ではほとんど知られていないトレーニング機器を数多く見てきましたが、今回取り扱いを開始したBEYOND POWER VOLTRA(ビヨンドパワー ボルトラ)は、その中でも特に大きな衝撃を受けた製品でした。
VOLTRAは、近年登場した「デジタルレジスタンス」という新しいカテゴリーを代表する製品の一つです。ホームジム分野において、ここ10年で最も画期的な製品の一つと言っても過言ではないでしょう。
テクノロジーが、本格的な筋力トレーニングの世界に大きな変革をもたらすかもしれない。VOLTRAを体験し、私はそんな可能性を感じています。
その理由は、VOLTRAが単にコンパクトなケーブルマシンだからではありません。筋力トレーニングにおける「レジスタンスそのもの」の考え方を変える可能性を秘めているからです。

なぜ私がVOLTRAにそれほど衝撃を受けたのか、その理由を説明するには、まず筋力トレーニングで利用される「レジスタンス(抵抗)」について触れる必要があります。
筋力トレーニングに利用されるレジスタンスには様々な種類があります。
最も一般的なのは重力です。バーベルやダンベル、ウェイトスタック、自重トレーニングは全て重力を利用しています。その他にも、ゴムバンドによる弾性、フライホイールによる慣性、空気圧を利用したマシンなどが存在します。
これらはそれぞれ異なる特徴を持っていますが、いずれも物理的な構造によって抵抗特性が決まるという共通点があります。
一方、VOLTRAが採用するデジタルレジスタンスは、モーターとソフトウェアによって抵抗を制御します。
従来のトレーニング機器がハードウェアによって性能を決められていたのに対し、デジタルレジスタンスはソフトウェアによって性能や特性そのものを変化させることができます。
そして、その可能性が最も分かりやすく現れるのが「抵抗曲線の調整」です。

デジタルレジスタンスの価値を語る上で、特に重要なのが抵抗曲線の調整です。
人間の筋力は関節角度によって変化するため、一律な抵抗が常に最適とは限りません。
そのため、パワーリフティングではバンドやチェーン、ウェイトリリーサーをバーベルと組み合わせて、抵抗曲線を変化させるトレーニングが行われています。またトレーニングマシンにも、カムの形状やプレートの装着位置によって抵抗曲線を変化させる仕組みが数多く採用されています。
デジタルレジスタンスの革新性は、抵抗曲線をソフトウェア上で自由自在に設定できる点にあります。これまで物理的な器具や複雑な工夫が必要だったことを、ソフトウェアの設定だけで実現できるのです。
さらに、従来の重力抵抗や弾性抵抗、慣性抵抗の特徴を再現するだけでなく、これまでのトレーニング機器では実現が難しかった新しい抵抗特性を生み出す可能性もあります。
私は、この点こそがデジタルレジスタンスが単なる新しいトレーニング機器ではなく、筋力トレーニングそのものを進化させる可能性を持つ技術だと感じる理由の一つです。

この技術は今後の筋力トレーニングをどのように変えていくのでしょうか。
私(店長神野)はフリーウェイトを愛してやまない人間です。だからというのもありますが、デジタルレジスタンスがフリーウェイトを完全に置き換えるとは考えていません。
耐久性、汎用性、競技特異性を考えても、バーベルやラックが筋力トレーニングの中心であり続けることは間違いないでしょう。私自身も最後までバーベルを手放すことはないと思います。
しかし一方で、デジタルレジスタンスは筋力トレーニングの世界における非常に大きな技術革新だと感じています。
私は、デジタルレジスタンスがフリーウェイトの代替になるというよりも、フリーウェイトと組み合わせることでトレーニングを新たな次元へ引き上げる可能性に期待しています。
たとえばバーベルとVOLTRAを接続すれば、これまで利用していたバンドやチェーンよりも遥かに精密な抵抗曲線の調整が可能になり、筋力トレーニングの進歩と人間の可能性の探求が進むかもしれません。
フリーウェイトが消えることはないでしょう。しかし、デジタルレジスタンスの登場で、トレーニングの可能性はこれからさらに広がっていくはずです。