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今回のインタビューでは、パワーリフティング界で着実に実績を積み上げている土田 康浩選手と、その成長を支える中澤 悠人トレーナーのお二人にお話を伺いました。
土田選手は、2023年度全日本大会2位、2024年度全日本大会3位、そして同年のアジアパシフィックアフリカ大会で2位という成績を収める実力派パワーリフター。デッドリフトでは322.5kgの日本記録保持者としても知られ、圧倒的なパフォーマンスとストイックな姿勢で多くのファンを魅了しています。
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中澤トレーナーは、S&Cやチーム指導、トレーナー育成にまで幅広く携わるプロフェッショナルトレーナー。現在はフランスを拠点に、パワーリフティングだけでなく「身体の動きそのもの」に着目した包括的な指導を展開しています。競技力の向上にとどまらず、選手一人ひとりの人生にも寄り添うその姿勢は、多くのアスリートから高い信頼を得ています。
競技に真剣に取り組んでいれば、誰しも一度はそんな問いに向き合うはず。
日本トップレベルのパワーリフターの土田選手も、その一人だった。
今回の連載では、そんな土田選手が取り組む中澤トレーナーのオンラインパーソナル指導の実際に迫る。コーチングの内容はもちろん、選手とのやり取り、メニュー作成の背景、信頼関係の築き方までを丁寧に掘り下げていく。
この第1回では、オンラインパーソナルを始めたきっかけから、中澤トレーナーの基本的な指導スタンス、そして土田選手の変化までを紹介する。
土田選手がオンラインパーソナルに踏み出したのは、ある種の“物足りなさ”を感じていた時期だったという。
「完全な限界を感じていたわけではないんです。でも、「このまま自己流でやっていて、どこまで伸びるのか?」という不安がありました。周囲の選手が伸びていく中、自分もより効率よく、納得感のあるトレーニングがしたいと思っていました。」
中澤トレーナーを選んだ理由については、”情報の信頼性と説明の納得感”に加え、”選手目線で寄り添ってくれる感覚”が大きかったと語る。
「SNSで発信されていた内容を見て、理論の根拠がしっかりあると感じましたし、「あ、ちゃんと見てくれそうだな」と思えたんですよね。」
土田選手は長年、自分でトレーニングメニューを考え、感覚と経験を頼りに調整を重ねてきた。しかし、その方法には見えない落とし穴があった。
土田:「正直、“なんとなく”でメニューを組んでいた部分も多かったです。根拠が曖昧なまま、“このくらいでいいか”という感じで負荷を決めていました。」
その結果、毎年のように怪我を繰り返してしまう状況に。特に印象深いのが、スクワット中に内転筋を痛めたときだった。
土田:「その時は結構重くて、“やばい”とすぐ分かるレベルでした。それ以降、動作に対する不安が残ってしまって、メンタル的にも落ち込みました。」
この経験を通じて、「怪我を未然に防ぐためには、自分以外の視点が必要だ」と痛感したという。
オンラインパーソナルと聞くと、"決められたメニューを送って終わり"というイメージを持つ人もいるかもしれない。しかし中澤トレーナーの指導は、そのイメージとは真逆だ。
中澤:「メニューを“押しつける”ようなことは絶対にしません。選手の身体の状態や背景、メンタル面まで把握した上で、納得感をもって取り組んでもらえるようにしています。」
例えば、フォームの改善ひとつをとっても、「とにかくこう変えてください」ではなく、「この動作だとこんなリスクがあります。本人としてはどう感じていますか?」と選手の内面を引き出すアプローチを大切にしている。
これは、"答えは外ではなく、選手の中にある"という考えに基づいている。
中澤:「私はあくまで伴走者、“こうすべき”ではなく、“こうしたらどうなるか”を一緒に考えるようにしています。」
競技に真剣に取り組む選手ほど、「100点じゃなきゃ意味がない」と自分に厳しくなってしまいがちだ。
中澤トレーナーは、そうした選手たちに向けてこんな言葉をよくかけるという。
中澤:「トレーニングの時間だけで1日が決まるわけじゃないよ。その日の状態で出せる“満点”を、積み重ねていこう」
たとえ今日は体調が万全でなくても、疲労が残っていても、その中で出せるベストがある。そうした現実的な視点と柔らかい言葉が、選手のメンタル面の安定にもつながっている。
中澤:「調子が悪くても“悪いなりにやっていい”と思えると、続けやすいんですよね」
中澤トレーナーのオンラインパーソナルはプログラムによって異なるが、基本的には週1回のオンライン面談(Zoomまたは通話)と、日々のチャットや動画のやりとりが中心となる。選手から送られてきたフォーム動画に対して丁寧なフィードバックを行い、細かく調整していく。
また、単なる「正しいフォーム」の押し付けではなく、なぜその修正が必要か、どういった意図でメニューが組まれているかを必ず言語化して伝える。
土田:「“このフォームだと負荷がこうかかるから、ここを調整したい”とか、“このメニューはこういう効果があるから今やっておきたい”というふうに、毎回ちゃんと説明してくれるんです。だから納得して取り組めますし、うまくいかなくても落ち着いて修正できます。」
中澤トレーナーのコーチングは、「言われたからやる」のではなく、選手自身が理解し、選択できる状態を作ることをゴールにしている。
トレーナーと聞くと、つい「教える人」「上から指導する人」というイメージを抱きがちだが、中澤トレーナーはあくまでも「引き出す人」だ。
その関わり方は、選手が自分自身と向き合い、「本当に自分に必要なこと」に気づくきっかけを与えてくれる。
土田:「自分では見えなかった部分に気づけたり、自信を持って“これでいい”と思えるようになったのは大きいです。」
こうしたオンラインパーソナルのスタイルは、パフォーマンスを上げたいと考えるすべての競技者にとって、大きなヒントになるはずだ。
競技力を高めるだけではなく、人としてどう成長していけるか。コーチと選手という枠を超えた信頼関係の中で生まれる、深くて、真っ直ぐな対話。
大会のピークに向けて、一歩一歩積み重ねていくその過程には、数字では測れない価値が確かに存在しています。次回は、その先にある“挑戦のリアル”に、さらに踏み込んでいきます。
※後編は2025年7月中旬の投稿予定となっています。
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