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アメリカには「モノリフト(Monolift)」と呼ばれる巨大なスクワットラックがあります。
とんでもなく大きく、重く、しかもほぼスクワットにしか使えないという、極端なトレーニング器具です。
なぜ、このような器具が生まれたのか。一体どのようなメリットがあるのか。そして、今後日本で普及する日は来るのか。
今回は、この巨大で特殊なスクワットラック「モノリフト」をご紹介します。


モノリフトは、主に海外のパワーリフターや大型アスリートが使用する特殊なスクワットラックです。
通常のスクワットラックとの大きな違いは、上部から吊り下げられた可動式のバーベルフックを備えている点です。
一般的なスクワットラックでは、バーベルを担いでから後方に数歩移動する必要がありますが、モノリフトでは補助者がレバーを操作してフックを退避させることで、その場でスクワットを開始できます。なお、フックを退避させず、通常のラックと同様にウォークアウトして使用することも可能です。
バーベルを担いで歩く負担を省略できることは、扱う重量やトレーニングの目的によってはメリットとなります。
しかし、モノリフトの利点はそれだけではありません。
もうひとつの重要なメリットが、手幅の広い大型アスリートへの対応です。
非常に大きな身体を持つアスリートの中には、スクワットの際、バーベルを握る手が左右のスリーブ付近に達する選手もいます。
こうした選手が通常のスクワットラックを使用すると、ラックアウトやラックイン、スクワットで潰れた際などに、手がJカップやセーフティと干渉し、指を挟む危険性があります。
独立型モノリフトには、左右のフック間隔や吊り下げ型セーフティの幅を調整できる製品もあり、手幅の広いアスリートでも、ラックとの干渉を避けながらトレーニングしやすくなっています。
つまりモノリフトは、ウォークアウトを省略できるだけでなく、一般的なスクワットラックでは対応が難しい大型アスリートにも適した器具なのです。

では、このような巨大な器具を日本のジムに導入するメリットはあるのでしょうか。
まず、現在の日本にはモノリフトを競技用器具として採用しているパワーリフティング団体が存在しません。そのため、国内のパワーリフティングジムが競技用器具として導入するメリットはほとんどありません。
また、日本では通常のパワーラックでは対応が難しいほど身体が大きく、手幅の広いアスリートは極めて稀です。
ウォークアウトを省略できるメリットについても、国内での需要は非常に限定的でしょう。
しかし、今後日本でも高重量を扱う大型アスリートが増え、トレーニングの専門化が進めば、こうしたアスリートのスクワットトレーニングに特化した器具を必要とする施設も出てくるのではないでしょうか。
そして、私がモノリフトに魅力を感じる理由は、実用性だけではありません。
この巨大なスクワットラックには、そこに設置されているだけで、ジムの雰囲気を一変させるほどの存在感があります。
巨大なスチールフレーム、上部から吊り下がる重厚なフック、複雑な可動機構。
ほぼスクワットのためだけに、これほど大きく重い機器を設置する。その極端な専門性こそが、モノリフトの魅力でもあります。
アメリカのハードコアなパワーリフティングジムにおいて、モノリフトはそのトレーニング文化を象徴する器具のひとつといえるでしょう。
もし国内のジムに本格的な独立型モノリフトが設置されていれば、それだけでその施設のハードコアさを象徴する存在になるはずです。
実用性だけを考えれば必要ないかもしれません。しかし、それでも置きたくなる。
モノリフトとは、そんな魅力を持ったトレーニング器具だと思います。

アメリカのROGUE FITNESSでは、過去にストロングマン競技での使用も想定した巨大な独立型モノリフト「RM44-4MONO 4-Post Monolift」を販売していました。
4×4インチ(約102×102mm)の大型スチール支柱を採用し、油圧アシスト式の高さ調整機構や可動式フックを備えた、非常に重厚な構造の製品です。
残念ながら現在はROGUEの通常の製品ラインナップから姿を消していますが、もし将来ラインナップに復活することがあれば、私としてはぜひ日本に取り寄せてみたいと思っています。

※本記事では、独立した大型ラックとして設置するタイプのモノリフトを紹介しています。パワーラックに取り付けるアタッチメントタイプの簡易型モノリフトについては取り上げていません。