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【特集Vol.24】トレーニング施設訪問 #02 ― 長崎ヴェルカ ―

【特集Vol.24】トレーニング施設訪問 #02 ― 長崎ヴェルカ ―

当店がサプライヤーとして関わらせていただいている
プロバスケットボール Bリーグ所属 長崎ヴェルカ様のトレーニング施設を訪問し、現地で取材を行いました。

今回は、ジムツアーとあわせて、
ディレクター・オブ・スポーツパフォーマンス
中山佑介氏へのインタビューを実施しています。


■ ジムツアー動画


■ 今回の取材について

今回の訪問では、施設の規模や設備の充実度といった表面的な要素だけでなく、
「なぜこの器具が選ばれているのか」「どのような考え方で環境が設計されているのか」という点に焦点を当てて取材を行いました。

トレーニング施設は、単に器具を揃えるだけで成立するものではありません。

どの種目を軸にするのか、
どのような負荷に対応するのか、
どのレベルの選手が、どの頻度で使用するのか。

そうした前提条件によって、選ぶべき器具や設計は大きく変わります。

今回のインタビューでは、長崎ヴェルカの現場で実際にどのような判断基準で器具が選定され、どのような思想でトレーニング環境が構築されているのかを伺いました。


■ 中山佑介ディレクターについて

中山佑介氏は、静岡県出身のアスレティックトレーナー。
大学卒業後に渡米し、NBAチームでのインターンを経てスポーツ科学を学びました。

2013年から2018年までは、
クリーブランド・キャバリアーズにて
アシスタント・アスレティックトレーナー兼パフォーマンスサイエンティストとして所属し、NBA優勝にも貢献。

帰国後はジム経営やBリーグチームでの指導を経て、
2021年より長崎ヴェルカに参画。

現在は、トレーニング環境の設計から選手強化まで、チームのパフォーマンス全体を統括しています。


■ インタビュー

1.器具の考え方

Q. トレーニング器具を選ぶ際に、最も重要視しているポイントは何ですか?

耐久力と安定性です。長崎ヴェルカでは、そこを大前提として抑えつつ、B3からの新規参入の地方チームという背景もあり、選手達がこの環境のチームに所属したいと思うようなデザインと雰囲気作りも大切にしました。

Q. トップアスリートのトレーニング施設において、器具の品質はどれくらい重要でしょうか?

品質は安全性に直結すると考えているので、非常に重要です。

Q. NBAの施設で使われている器具は、日本と比べてどのような違いがありますか?

リーグの仕事を離れてから時間が経っているので現状は分かりませんが、当時所属したチームでは器具の違いというよりも、器具のアップデートのスピードに驚きました。スクワットラック・リグやプラットフォームなど、トレーニング哲学の中心を担うメニューに必要な器具はそのままに、周辺の器具をアップデートしていくイメージでした。

2.ウェイトトレーニング器具

Q. バスケットボール選手のトレーニングにおいて、最も重要だと感じる器具は何でしょうか?

ダンベルとバーベル、プレートだと思います。大きな影響を受けた恩師のトレーニング哲学の一つに“Move the Iron(鉄を動かせ)”があるのですが、私自身もそのように考えています。

Q. バーベルやプレートなどの器具で「良い器具」と感じるポイントはどこでしょうか?

ローレット加工の感触、スリーブのスムースさ、重量の正確性などでしょうか。選手も気が付きます。

3.施設設計

Q. パフォーマンスセンターを設計する際、器具の配置で意識していることはありますか?

トレーニングのフローをイメージし、特定のエリアに混雑が起きにくいことと、安全性を意識しています。

Q. バスケットボールチームのトレーニング施設には、どんな設備が必要でしょうか?

スクワット・パワーラックまたはリグ、バーベル、プレート、ダンベルとベンチが基本です。バスケットボールチームだからといって特別な器具が必要となるメニューがプログラムの中心となるとは考えません。スペースに余裕があればスレッド、補助メニューとしてフライホイールを用いたトレーニングも効果的だと感じています。

Q. 大学や高校などが施設を作る場合、最低限必要な器具は何でしょうか?

繰り返しになってしまいますが、スクワットラック、ベンチ、バーベル、プレート、そしてダンベルです。特に安全性の観点から、可能な限り品質にこだわって欲しいと思います。

4.トレーニングの実際

Q. この施設で特に活用されているトレーニング器具を教えてください。

使用頻度が高いのはダンベル・バーベル・プレート・ベンチです。

Q. ジャンプ力や爆発力の向上、怪我予防のトレーニングでは、どのような器具を活用していますか?

練習や試合中に繰り返されるジャンプや切り返しによる負荷に耐えられる身体を作る事をより重視しています。そのためのアイソメトリックやエキセントリック負荷をかける際に、ダンベル、セーフティスクワットバー、フライホイールなどを良く使います。

5.器具の価値

Q. トップチームにとって「良い器具」を導入するメリットは何でしょうか?

安全性や握り易さ、扱い易さが追及されている器具を使用する事で、トレーニングにより集中できる環境になります。

Q. トレーニング器具はパフォーマンスにどれくらい影響すると考えていますか?

大きく影響します。トレーニングは継続が大前提であり、パフォーマンスへの移行には時間がかかるからこそ、モチベーションを高く保ち、忍耐強く続けられる環境には良い器具が必要だと考えるからです。

6.メッセージ

Q. これからトレーニング施設を作るチームや学校にアドバイスがあればお願いします。

上述のMove the Ironは本質だと考えています。そして、そのIronは品質と安全性を重要視して、選手が安全にトレーニングに集中できる環境を作ってほしいと思います。スペースや予算による制限は工夫次第で、その条件下でのベストなトレーニング環境を作ることができます。そのためには専門家にアドバイスを求めることがとても大切です。


■ MBC POWERの視点

今回の取材で特に印象的だったのは、特別な器具に依存するのではなく、
フリーウェイトを中心とした極めて本質的な構成でトレーニング環境が設計されている点です。

一見シンプルですが、その裏には明確な思想と判断基準があり、
すべての器具が意図を持って選定されていることが分かります。

また、器具単体ではなく、配置や動線、使用頻度まで含めた「環境」として設計されている点も非常に印象的でした。

トレーニング施設は単なる設備ではなく、
パフォーマンスを生み出すインフラであるということを改めて実感しました。


■ まとめ

長崎ヴェルカのトレーニング施設は、

本質を捉えたトレーニング思想
それを支える器具選定
継続できる環境設計

によって構築されています。

その中心にあるのが、中山ディレクターの
「Move the Iron」というシンプルで強い考え方です。

   

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筆者:店長 神野
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