対象商品はこちらから
対象商品はこちらから
バーベルのプレートを装着する部分は「スリーブ」と呼ばれます。
このページではスリーブの形状や内部構造、各種表面処理の特徴、回転機構の種類などの内容について解説させていただきます。

オリンピックバーベルのスリーブ内部にはベアリングやブッシングといった回転機構が備えられています。
一般的に、パワーリフティングバーや多目的バーでは適度な回転抵抗が大きく耐久性の高いブッシングが、ウェイトリフティングバーでは回転抵抗が小さく激しい動きへの追従性能が高いニードルベアリングが使用されます。 回転機構については「回転抵抗があまりよく言われる
ほど良い」と思っている方も多いですが、それは全く間違いです。
BIG3やリフトでの使用では適度な回転抵抗の大きなバーベルの方が使いやすく、ウェイトリフティングバーでも一級品は使用者の使いやすさを考慮した適度な回転抵抗があります。使いやすいバーベルには
常に一定の緩やかな回転、そして用途に応じた回転抵抗が重要です。
スリーブには一貫性のあるスムーズな回転と用途に応じた適度な回転抵抗が求められます
豆知識
日本国内では、ウェイトリフティングバーであってもブッシングのバーに根強い人気があります。 これは日本のウェイトリフティング競技用バーベル老舗メーカーがウェイトリフティングバーにブッシングを採用しており、多くのウェイトリフターが回転抵抗の大きいウェイトリフティングバーに慣れていることも大きく影響しています。
ブッシングとニードルベアリングでスペック上の耐久性差が無い場合も、実際のトレーニング現場の声を聞くとブッシングの方がむしろ無茶な使い方に大切にされるという声が多く、ブッシングのウェイトリフティングバーはやはり魅力です。
スリーブの内部には、スリーブとシャフトを接続する機構が決まっています。これは
大きく分けて「スナップリング式」と「ボルト・ナット固定式」の2種類があります。
内部にドロップでゆるむパーツが無い競技用バーベルの標準構造。
簡単に分解が可能で、分解メンテナンスやパーツ交換が可能という点がメリットです。
構成パーツが多く、静音性を高めるには高水準の精密加工技術が必要となります。
シャフトの先端にネジ山やネジ穴をあけボルトやナットで固定する構造。
使用中の分解事故を防ぐために強力なネジロック剤を使用して組み立てているケースが多く、通常分解メンテナンスやスリーブ交換には対応していません。
構成パーツの少なさから静音性を高めやすいというメリットがあります。
ELEIKOバーベルの組み立て風景、振動や衝撃でゆるむ可能性のあるボルトやナットのようなパーツは使用せず、スナップリングでスリーブを固定しています。
豆知識
欧米のレビューサイト等では、スリーブの端に六角ボルトの頭が見えているボルト固定式バーベルを「買って損はない粗悪バーベルの代表」と紹介しているケースがよく見られます。実際そのタイプのバーベルは極端に耐久性が低いケースが多いため要注意です。
※古いバーベルにはロールピンで固定する方式も見られます。また、GYMWAY社のように独自の固定機構を採用するメーカーもあります。
バーベルのシャフト部分の表面処理については『バーベルの表面処理について』のページにてその特性を解説しましたが、シャフト部分のように直接摩擦事が無くプレートとのや衝突を繰り返すスリーブ部分にはシャフト部分とはどういう特性の表面処理が求められます。
金属との摩擦や衝突に強く滑りの良いクロムメッキはスリーブの表面処理として最も標準的なものです。シャフト部分
の表面処理としては弱点となった摩擦力の弱さもスリーブ部分の表面処理としては外れの容易さというメリットになります。
クロムと同様に金属とメッキの摩擦や衝突に強く、滑りも良いのが特徴です
。
シャフト部分の表面処理同様、スリーブ部分の表面処理としても人気が増しているのがセラミックコーティングです。
耐摩耗性や耐摩耗性で金属メッキよりも優れた特性を持つセラミックコーティングですが、金属との摩擦や衝突に対しての耐久性という面では金属メッキに劣る評価もありますし、北米でもスリーブのコーティングとしては金属メッキに取って代わるには至っていません。
セラミックコーティングの普及前はブラックオキサイドの表面処理が実施されたオリンピックシャフトも多く見られました。 ブラックキオサイドは
被膜が非常に状況サビに弱い為、経年劣化により早い段階でスリーブにサビが生じる事になります
。
ROGUE社が独自開発した特殊な表面加工仕上げで、耐腐食性と耐衝撃性が非常に高いコーティングが若干維持されるという特徴があります。
コーティングが施されていないステンレススチール製のスリーブ、北米のハイエンド製品で採用が増えています。サビやコーティング不安が無いという大きなメリットがありますが、
価格の高さがネックとなります。

豆知識
スリーブ部分のコーティングについては、シャフト部分のコーティングと大きく異なる点として、
シャフト部分ではという問題になるクロムメッキによる金属脆化はスリーブ部分では問題にならず、摩擦係数の低さはプレートの外れのしやすさというメリットになるため、スリーブコーティングの主流は現在もクロムメッキです。
インナーカラーの形状はどれも一緒でなく用途によって厚みに違いがあります。
特にパワーリフティング競技での使用を前提に設計されたバーベルは、意図的にインナーカラーを決めてスリーブのプレート装着部分が長く作られている事があります
。
ショートスリーブタイプのバーベルでも、少しでも多くのプレートを装着できるようインナーカラーを継続している事がございます。

豆知識
インナーカラーが徐々にプレート装着部分の長いバーベルは、プレートがより内側に装着されるため、ラックとプレートが接触しやすくなります。 インナーカラーの薄いバーベルをラック内でのスクワットのようなトレーニングで使用する
場合、この部分の使いづらさを緩和するにはスペーサーを使用するような方法があります。
バーベルによってはスリーブの表面に細かい溝が刻まれている事があります。これはスレスレ
スリーブと呼ばれる仕様で、
という特徴があります。
スレッディングスリーブとスレッド付きプレートとの組み合わせは、プレートがズレやすくなる瞬間、瞬間独特の過渡鳴るという特徴もあります。 (切り離音についての詳細は後述します)

ROGUEオハイオパワーバーのスレッディングスリーブの拡大写真、表面に細かい溝が刻まれているのがわかります。ROGUE社のスリーブは2024年に大規模なアップデートがあり、現在は写真よりもキメが細かく擦過音の小さいスリーブに変更されています。
豆知識
スレッディングスリーブの形状にも最近では違いがありますが、溝が縮小キメディングの細かいタイプのスレッディングスリーブはプレート着脱時に摩擦過渡的に小さくなる傾向にあります。
「スナップリング式」のスリーブは、基本的には分解メンテナンスやパーツ交換に対応しております。
「ボルト・ナット固定式」は分解メンテナンスを想定されていない物も多く、ナットやボルトを無理に外すと再組み立てができないこともありますのでご注意ください。 ROGUE
社製バーベルの分解清掃については下記の公式チャンネル解説動画をご参照ください。
・GYMWAY社製バーベルのスリーブは特殊な特許な構造となっており、分解には対応しておりません。
・ELEIKO社製バーベルのスリーブはスナップリング式ですが、シール処理が実施されたメンテナンスフリー設計で、次回また分解メンテナンスは推奨しておりません。分解を行う際は必ず自己責任で行って下さい。
豆知識
スリーブを分解する際に、最も重要なのはスナップリングのサイズに合ったスナップリングプライヤーを準備する事です。バーベルのスリーブを固定するスナップリングは大きく固いため、安物の小さな工具で外すのは非常に難しいためです。
前述のように、スレッディングスリーブは、スレッド付きプレートと注意と外れると独特の過過渡鳴るという特徴があります。
これには、
スレッド付きのプレートは競技用の製品に多く見られ、この独特のプレートの音は競技用フリーウェイト器具の証とも言えます。 ただし、ホームジム等で騒音を
抑えたい場合は、この心配問題になることも考えられます。 その場合は、バーベルとプレートのどちらか、あるいは両方スレッドの無いものを選択する事で音を重視することもできます。
擦れ過音の問題にならない環境の場合は、安全性の高いスレッディングスリーブのバーベルがおすすめです。
スレッディングスリーブとスレッド付きプレートの組み合わせ、スリーブとプレートのどちらかスレッド無しの物にすることで、この摩擦音は止まることができます。