本ページでは各種バーベルの違いについて解説していきます。
バーベルは主に下記の3種類に大別されます。
1,オリンピックバーベル
オリンピックバーベル(Olympic Barbell)とは、ウェイトリフティングやパワーリフティングといったリフティング競技と本格的なウェイトトレーニングで使用されるストレート形状のバーベルのことです。
素材には高品質な鋼鉄が使用されており、トレーニング中の怪我を防止する回転式スリーブを備えているのが特徴で、その耐久性や安全性からアスリート向けジムや商業ジムからトレーニング愛好家のホームジムまで広く使用されています。
2,スペシャリティバーベル
『スペシャリティバーベル』(Specialty Barbell)とは、特定の筋肉群をターゲットにしたり、特定のエクササイズやトレーニングスタイルに特化した設計を持つバーベルのことを指します。オリンピックバーベルやスタンダードバーベルとは異なり、形状や構造は多種多様です。
スペシャリティバーベルは特定のトレーニング目標や怪我の予防、リハビリテーション、あるいは単純にエクササイズのバリエーションを増やすために使用されます。
3,スタンダードバーベル
『スタンダードバーベル』(Standard Barbell)とは、スリーブに回転機構を持たないストレート形状のバーベルです。
オリンピックバーベルと比べてコストが低く、手軽に入手できることが特徴です。しかし、リフティング競技や本格的なトレーニングでは、オリンピックバーベルのような耐久性や回転機構が必要になるため、スタンダードバーベルは主に簡易的なジムで使用されます。
※当店では『本格的なフリーウェイト器具を扱うお店』というコンセプトと合致しないため、スタンダードバーベルは取り扱っておりません。
各種オリンピックバーベルの解説
・パワーリフティングバー

【パワーリフティングバーとは】
パワーリフティング競技やBIG3(スクワット、ベンチプレス、デッドリフト)での使用を目的に作られたバー、略して『パワーバー』と呼ばれます。
シャフト部分の直径が太く、しなりが少なく、ローレットが強いのが特徴です。
回転部分の機構は耐久性が高く回転抵抗の強いブッシングが一般的です。
【パワーリフティングバー豆知識】
近年世界的にパワーリフティングの競技人口が爆発的に増加し、合わせて様々な商品が登場しているパワーバーですが、競技用パワーバーの世界では長年スウェーデンELEIKO社の製品がゴールドスタンダードとして君臨しており、パワーリフティング世界大会でも基本的に100%全てELEIKOのバーが使用されます。
パワーバーは、パワーリフティングジムはもちろん、BIG3を重視するボディビルジムや、クイックリフトを行う事の少ないボディメイクのジムでも最も好まれる傾向にあります。
パワーバーの中でもアグレッシブなローレット加工が施された競技者向けのものとマイルドなローレット加工の一般向けのものがあり、ライト層向けのジムであればローレットのマイルドなものがオススメになります。
【標準的な仕様】
・長さ 2200mm
・シャフト部分の直径 28mm~29mm(主流は29mm)
・重量 20kg
・しなり 少ない
・ローレットの強さ 強い~非常に強い
・センターローレット 有り
・シャフト部分の表面処理 ロウスチール、ステンレス、クロムメッキ、亜鉛メッキ、セラミックコーティング等
・グリップマーク パワーリフティング(中心より40.5cm)
・回転部分の機構 主にブロンズブッシング(高耐久で回り過ぎない)
・公認団体 IPF(国際パワーリフティング連盟
・ウェイトリフティングバー

【ウェイトリフティングバーとは】
ウェイトリフティング競技やクイックリフトでの使用を目的に作られたバーベル。
パワーリフティング用と比較するとシャフト部分が細く、よくしなり、ローレットはパワーバーよりもマイルドになります。
回転部分の機構は回転抵抗の少ないニードルベアリングが一般的ですが、コストダウンや耐久性・汎用性の向上といった目的でブッシングが使用されるケースもあります。
【ウェイトリフティングバー豆知識】
ウェイトリフティングバーは世界にELEIKO(スウェーデン)・ROGUE(米国)・UESAKA(日本)・ZKC(中国)・DHS(中国)・Werk-San(トルコ)という6社のIWF(国際ウェイトリフティング連盟)公認メーカーがあり、五輪や世界選手権ではZKCやELEIKOが多く採用されていますが、近年はROGUEも勢いを増しています。
安価なIWF非公認品も数多く販売されており、シャフト部分の表面処理も以前はクロムメッキのものが主流でしたが、近年は様々なバリエーションが選択可能になっています。
ベアリング部分の回転抵抗はメーカーによって差があり、あえてニードルベアリングではなく回転抵抗の高いブッシングが採用されている製品もあります。
【標準的な仕様】
・長さ 2200mm
・シャフト部分の直径 28mm
・重量 20kg
・しなり 大きい
・ローレットの強さ 普通~強い
・センターローレット 有り
・シャフト部分の表面処理 ステンレス、クロムメッキ、亜鉛メッキ、セラミックコーティング等
・グリップマーク ウェイトリフティング(中心より45.5cm)
・回転部分の機構 主にニードルベアリング(回転抵抗が少なくよく回る)
・公認団体 IWF(国際ウェイトリフティング連盟)
・多目的バー

【多目的バーとは】
パワーリフティング用とウェイトリフティング用の中間的な特性で作られ、どちらの用途にもある程度使用できるように設計されたバーベル。
『マルチパーパスバー』『ハイブリッドバー』『クロスフィットバー』『クロストレーニングバー』といった呼ばれ方をする事もあります。
様々な種目を行うクロスフィットジムでの使用を目的に作られた比較的新しいカテゴリーのバーベルですが、汎用性の高さが好まれアスリート向けジムや一般向けジムでも人気があります。
【多目的バーの豆知識】
クロスフィット人気の高まりと共に人気を増したカテゴリーのバーベルで、クロスフィット用器具のトップメーカーであるROGUE社のオハイオバーが実質的な世界標準として高い人気を誇っています。
BIG3とクイックリフトをどちらも高重量で行うアスリート向けジムのような場所に一種類だけバーベルを置くのであれば多目的バーは理想的な選択肢になります。
ただし、BIG3ではパワーバーの方が使いやすく、クイックリフトではウェイトリフティングバーの方が使いやすいため、種目毎に専用のオリンピックバーベルを設置できるジムであれば必要性は低くなります。
【標準的な仕様】
・長さ 2200mm
・シャフト部分の直径 28mm~28.5mm
・重量 20kg
・しなり 普通~大きい
・ローレットの強さ マイルド~普通
・センターローレット 無いものが主流
・シャフト部分の表面処理 ステンレス、クロムメッキ、亜鉛メッキ、セラミックコーティング等
・グリップマーク パワーリフティングとウェイリフティングのデュアルマークが主流
・回転部分の機構 ブッシングが主流
・公認団体 無し
・ウィメンズウェイトリフティングバー

【ウィメンズウェイトリフティングバーとは】
直径25mm、重量15kg、全長201cmという規格で作られた細く軽いウェイトリフティングバー、主にウェイトリフティングの女子選手が使用します。
【標準的な仕様】
・長さ 2010mm
・シャフト部分の直径 25mm
・重量 15kg
・しなり 大きい
・ローレットの強さ 普通~強い
・センターローレット 無し
・シャフト部分の表面処理 ステンレス、クロムメッキ、亜鉛メッキ、セラミックコーティング等
・グリップマーク ウェイトリフティング(中心より45.5cm)
・回転部分の機構 主にニードルベアリング(回転抵抗が少なくよく回る)
・公認団体 IWF(国際ウェイトリフティング連盟)
ウィメンズ多目的バー

【ウィメンズ多目的バーとは】
女子用ウェイトリフティングバーと同じ直径25mm、重量15kg、全長201cmという規格で作られた多目的バーベル、主にクロスフィットの女子選手が使用します。
【標準的な仕様】
・長さ 2010mm
・シャフト部分の直径 25mm
・重量 15kg
・しなり 大きい
・ローレットの強さ マイルド~普通
・センターローレット 無し
・シャフト部分の表面処理 ステンレス、クロムメッキ、亜鉛メッキ、セラミックコーティング等
・グリップマーク パワーリフティングとウェイリフティングのデュアルマーク
・回転部分の機構 ブッシングが主流
・公認団体 無し
・テクニックバー

【テクニックバーとは】
技術練習向けに作られた軽量なバーベル。
5kgや10kgの製品があり、初心者や女性、子供のトレーニングにも適しています。
シャフト部分を細くしたもの、スリーブ部分を短くしたもの、アルミニウムのような軽量な金属を使用したものなどががあります。
あくまでも軽重量でのフォーム練習を目的に作られた製品で、高重量でのトレーニングに想定していないものが多い点には注意が必要です。
・ショートバー
【ショートバーとは】
通常よりも短く作られたバーベル、主に狭い場所での取り回しの向上を目的として作られています。
テクニックバーと似ていますが、フォーム練習の為の軽いバーで高重量でのトレーニングに対応していないものがテクニックバー、通常の高重量対応バーベルを短くしたものがショートバーとお考え下さい。
パワーバーをベースに短くしたものと多目的バーをベースに短くしたものが多く、シャフト部分とスリーブ部分をどちらも短くしたタイプと、シャフト部分の長さは変えずスリーブ部分のみを短くしたタイプに分類されます。
シャフト部分の長さは変えずスリーブ部分のみを短くしたタイプは『ショートスリーブバー』とも呼ばれ、パワーラックに掛けて使用できるという利点があります。
各種スペシャリティバーベルの解説
スペシャリティバーはオリンピックシャフト以上に多種多様なものがありますが、代表的なものについて解説していきます。
・カールバー

【カールバーとは】
主にアームカールやトライセップエクステンションといったエクササイズに使用するW字型にカーブしたバーベル。
取り回しのしやすい短いタイプと、パワーラックに掛けて使用できる長いタイプに分かれます。
・スイスバー(マルチグリップバー)
【スイスバーとは】
複数のハンドルを持ち、様々なグリップ幅と角度でのアームカール、ベンチプレス、ローイングといった種目を行えるスペシャリティバーベル。
手首や肘の負担を軽減しつつ、肩や胸の異なる部分に焦点を当てた多様なトレーニングを行う事ができます。
ハンドルが付け替えられる物や全体がカーブした物もあります。
・オープンデッドリフトバー(オープントラップバー)

【オープンデッドリフトバーとは】
トラップバーを進化させたスペシャリティバーベルで、トラップバーデッドリフトの他、ランジ、キャリー、ローイングといった使用に応用できます。
オープンデッドリフトバーでのデッドリフトは重量を身体の中心線に近づけて挙上を行えるため、腰への負担を軽減し、正しいデッドリフトフォームを学ぶ初心者にも有益です。
自立し省スペースに収納できる点やジャッキ無しでプレート交換ができるという点でもトラップバーより優れています。
・セーフティスクワットバー(SSB)

【セーフティスクワットバーとは】
セーフティスクワットバーは安全性を高めつつフロントスクワットとバックスクワットの中間的な負荷でのスクワットを行えるスペシャリティバーベルです。
背中や肩への負担を軽減し、パッドが肩や首にかかる圧力を分散します。
肩の怪我が多いアスリート向けジムやパワーリフティングジムでは非常に重要なスペシャリティバーと言えます。
ハンドルやスリーブに可変機構を組み込み負荷を調整できるタイプもあります。
・ローダブルダンベル

【ローダブルダンベルとは】
ローダブルダンベルは、プレートを自由に追加・取り外しできるスペシャリティバーベルの一種で、ダンベルの機能をバーベルと同じようにカスタマイズ可能にします。
オリンピックバーベルと同様のスリーブ部分にはオリンピックプレートを着脱できる構造となっています。これにより、トレーニングの重量を細かく調整でき、片手ずつ異なる重量を扱うことも可能です。
オリンピックバーベルとプレートを共用できるためスペース効率も良く、様々なエクササイズで活用できます。
・キャンバーバー
【キャンバーバーとは】
中心が曲がった形状を持つスペシャリティバーベルで、主にスクワットやベンチプレスに使用されます。
この中央のカーブにより、肩や肘への負担を軽減し、関節の自然な動きを促進します。スクワットでは、深いスクワットが可能になり、より効果的に大腿四頭筋や臀部を鍛えることができます。また、ベンチプレスでは、胸部へのストレッチが増し、筋肉の発達を促します。